前回の株式譲渡と事業譲渡の違いのお話しに続き、今回もM&A手続きの基本知識について。
次回からはいよいよ、
会社を買った会社員のM&A実録?
(ただのありのままですがw)をお届け!
よりリアルな話で、実際の流れを紹介しながら、どの様に個人M&Aを進めることが出来るのかを解説しますよー!
その前に、しっかりと基礎の”き”をもう少し押さえておきましょう。
だんだん身につくM&Aの知識
ここまで読んでいただいた皆さんは、
会社や事業を引き継いでいく流れは、大方理解が出来たのではないでしょうか。
まずはソーシング(案件探し)をして、
ファーストコンタクトをし、実名交渉に進み、
DD(デューデリジェンス)をして購入の意向があれば、契約をして買うという流れでした。
そして、買い方にも2種類あって、
- 会社を全部丸々買って引き継ぐ株式譲渡
- 事業とそれに関連する欲しいもののみを買う事業譲渡
2種類があることを学びました。
皆さん、どうでしょう?何か思うことはないですか?
Vol.1で一番最初に、会社員でも会社や事業を買って経営者になれると聞いた時、
真っ白だったM&Aについての流れ、理解が出来てますね⁈
実例を挙げて、実際にやっている人たちが多数いると聞かされた時も、「どうせ一部の限られた人の話で自分には無理だろう」という思いが少なからずあったと思います。
でも、どの様な手順で進めるかのざっくりした流れは、しっかりと把握することが出来ているのです!
とっても良いペースですので、この調子で続けて見ていきましょう。
もし理解出来ない所があれば、
過去の記事を今一度読んでみてください。
きっと理解出来るはずです。
さぁ、今日はM&Aで最も重要な「契約」
の基本について、確認していきましょう。
買収までに何回契約する?
意識されにくい”契約”
皆さんはどんな契約をしたことがあるでしょうか?
賃貸で家を借りる時の契約、車のローンを組む時、お勤め先で何らかの契約に携わったなど、
何らかの契約を結んだこと自体はあると思います。
ところで、その契約書の内容はしっかりと理解して、サインをしましたか?
自分にとって不利になる様な内容があれば、内容の訂正を依頼した事はあるでしょうか?
こうした経験がある方は多くないと思います。
M&Aでは、売手と買手の間で、
何を、いつ、どの様に、どの位、どこで、いくらで、引き継ぐのか
といったことを1つ1つ丁寧に話し合って合意し、それを文章に残しておく事が必要となります。
契約はプロセスがすべて
一方的に用意された契約書の説明を受けて、サインをするだけの契約とは異なり、
お互いが何を望んで、どの様に決定するかをしっかりと合意して、それを残すというプロセス。
この作業こそが本来の「契約」で、M&Aの手続きでも、こうした契約を行っていく必要があります。
でも、「自分は弁護士でもないし、法律にも詳しくないから契約の合意なんて出来ない..」
と弱気になる必要はありません。
個人M&Aで行う契約の種類は、ある程度数が限られていますし、買手が留意すべきことも一定のパターンに固定されます。必要なのは、しっかりと理解したうえで売手の方と話し合い、合意を行うこと。
そう、そのプロセスが大切なのです。
今日は手始めに、その代表的な2つの契約について知っておきましょう。
基本合意契約
M&Aで締結することが多いこの基本合意契約。
その名の通り、基本的な事柄について合意したことを書き残しておくものです。
この契約、実は法的な拘束力はありません。
でも、だからといって不要で無駄かというとそうでもないのがこれ。
ファーストコンタクト後、必要な情報の聞き取りを行ったり、資料の提示を受けたり、
面談したりなんかして、会社や事業の概要の理解を深めた後、いよいよ買収に向けて調査を行うという段階で締結するのが一般的です。
M&Aを必ず実行する約束という意味での法的拘束力はなく、最終的な合意に向けた仮合意というイメージです。
- その時点までに分かっていることに嘘がないこと
- 引き続き、買収に向けて前向きに検討を進めること
等について合意を行います。
これを経ることで、売手の方との認識をすり合わせて、
M&Aを行って会社や事業の譲渡を目指していきましょうね
という合意をする為のものです。
まさに、こうしたプロセスを踏んで、信頼関係を築いて行く第一歩になる契約といえます。
譲渡契約
そうして、合意した事を前提に、詳細なDDを進めていきます。
財務諸表を見せてもらったり。
面談を重ねて、これまでの歴史や事業に関する重要事項をヒアリングしたり…
もちろん、この過程で何かリスクや不安要素が見つかった際は、引き返すことも可能です。
何故なら、締結した基本合意は、その時点で合意したことを記したものに過ぎず、
イコール譲渡を行う約束ではないからです。
その一歩先、会社や事業を引き継ぐことを約束する契約が、譲渡契約です。
株式譲渡なら株式譲渡契約、事業譲渡も同様に事業譲渡契約と呼んだり、最終契約と呼ぶ場合もあります。
基本合意も含めて今まで合意した事実に嘘がないこと、いつ、いくらで、どの様に譲渡を行うかを記載します。
後日のトラブル発生を防ぐ為、
しっかりと議論のプロセスを経て、売手と買手の共同作業で契約書を作り上げる必要があるのです。
M&Aにおいての契約は、多くの場合この2つが主となります。しっかり頭に残しておきましょう。
では、いよいよ次回以降は、
実際に会社を買った私のエピソードを基に、
これまで学んだ一覧の流れが実践でどう進むのかをご紹介します!
次回もまたお楽しみに。