株式譲渡と事業譲渡

M&Aの流れ

全部買う?一部だけ買う?

こんにちは。会社を買った会社員 増岡です。

私には、給料日が2回あります。
いきなり何言ってんだ?という感じですか。笑

  • 自分が会社員として給料をもらう給料日
    (サラリーマンを実感します)
  • 自分が経営者として従業員に給与を
    お支払いする給料日

の2回です。
先日は、自分が支払う方の給料日でした。

事業承継を受けて、パーソナルトレーニングジムを経営しているものの、正社員として会社勤めも行っているので、日中に自分のお店に行くことはほぼ出来ません。

代わりに、4名のスタッフさん達が、それぞれ工夫をして助け合いながら運営をしてくれています。

もちろん、日中もオンラインで繋がって細かな指示は出していますが、基本的に運営はスタッフさん任せです。

いくらお客様が居て、お店があっても、
サービスを提供する人がいなければ売上も利益も立たないのは、言うまでもありません。

それを任せることが出来るスタッフさんがいるということは、本当にありがたいことです。

だから、この月に1回の給料日を迎えると、日々の感謝とそれぞれの生活に対する責任を感じ、手続きを終えると本当にホッとします。

同時に、自分が会社員として得る給与の意味も全く違ったものになります。

両方の立場に立って初めて分かることや、それを分かって初めて感じる事が多々あります。

会社員兼経営者ならではのオリジナルな実感です。

さて、今日はそんな従業員さんの存在や支払いにも関係する

会社の買い方のおはなし

会社は、全部買う事も出来るし、
一部だけ買う事も出来ます。知ってましたか?

それでは、見ていきましょう!

全部まるっと株式譲渡

厳密にはその他の手法もあるのですが、
個人M&Aのレベルでは、この2つを覚えていれば完璧です。

違いは、その買い方。
会社ごと全部丸々買う株式譲渡から見ていきましょう。

株式譲渡は、売手の株主(中小企業では経営者やその親族であることが一般的です)が所有する株式を買手に売却する手法です。

株式は互いに取り決めた比率を譲渡するのですが、完全に経営権を握り、オーナーになる為には100%の株式を取得する事が必要で、それが一般的です。

金額は互いの合意次第で、その相場やポイントはまた解説しますが、場合によっては0円(対価の支払が不要)というケースもあります。
タダ!!

会社ごと全部まるっと買うので、

  • 従業員との雇用関係や取引先との契約
  • 取得している許認可

等も、全てそのまま引き継いで行くことが可能なのが、この株式譲渡のメリット。

もちろん、社名だってそのまま使えるし、
会社印もそのまま使用することが可能です。

また、株式は消費されるものではなく、
売買取引を行っても所有が移転するだけとみなされる為、消費税が発生しないことも大きなメリットです。

ただし、もちろんデメリットも。

それは、会社を丸々買う為、
その会社が負っている負債も引き継ぐこと。
更に、引継ぎ時に発覚してなかった未払賃金等が後から発覚した場合も支払う義務を負います。。。

会社が本来支払うべきものなので、
引継いだ方が義務を負うのも当然と言えば当然。

このように、手間なくスムースに引き継いで事業を継続出来る反面、引き継ぐ対象が多いことから、どうしてもその支払金額が高くなりがちなのが株式譲渡です。

一部だけの事業譲渡

では、事業譲渡はどうでしょうか。
そもそも会社の一部だけを買う というイメージが付きにくいかもしれません。

例えば
ガストやジョナサン、バーミヤンを運営する
すかいらーくホールディングスは皆さんご存じですね?

このすかいらーくから【ガストの事業のみ】
を買うのが事業譲渡です。
逆に、その他の店舗も含めて丸っと買うのが…そう!株式譲渡ですね。

具体的に何を引き継ぐ?
まず、会社自体を引き継ぐことは出来ません。
その為、同じ事業を継続するにしても、運営する別のハコ(法人や個人事業)が必要となります。

すかいらーくから引き継いだB社がB社の事業としてガストを運営する必要があります。

また、譲受の対象範囲は、売手と買手の合意によります。

従業員との雇用契約や営業に必要な契約、引き継ぐ在庫の数量等も、お互いの合意で決定していきます。
負債も引き継ぐ義務を負いませんし、株式譲渡ではないので、株の譲渡も行いません。

不採算で魅力のない事業をやっている場合は、それだけを引継がないとすることも可能です。

つまり、
必要なものを必要な分だけ引き継ぐ事が可能

買手にはメリットが多いですが、
気を付けるべきデメリットもあります。

デメリット
まずは契約。契約には相手がいる為、
一方的に引き継ぐことは出来ません。

その為、新しい契約主として各種契約を締結し直す必要があります。

例えば、これまで使用してた店舗も、
買手が賃貸借契約を締結し直す必要があります。

また、株式譲渡ではかからなかった消費税も
事業譲渡では発生します。

消費税は、土地や有価証券などの非課税資産を除いた資産に対して発生する為、その分の資金も用意する必要がでてくるのです。

どちらが良いかはケース次第
このように2つの手法それぞれにメリットとデメリットがあり、また売手と買手のそれぞれの状況によっても、何がベストかは異なってきます。

ちなみに私は事業譲渡を選択しました。
そんな私のリアルな交渉過程も交えながら、
次回以降もまた発信していきます。

つづく。。。

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